「氷艶hyoen2019―月光かりの如く―」が大成功に終わって早1週間…
どっぷり氷艶ロスに浸りながらも記憶を言葉に綴るのがなかなか難しくて
もたもたしているうちにこの週末が終わってしまった感。
せめてもの思い出振り返りに、土曜公演の帰り際に撮った横浜アリーナ入口を。
本当は動画で撮ってあるのですが手元がブレブレだったので静止画にしてみました。
この宣伝映像の光源氏、美しさの中にある影の部分もまた魅力なのだろうなぁと
氷艶の舞台を思い起こしながら改めてジッと見入ってしまったのでした。
「宮本亜門が描く、平安貴族の光と影。」
公式プログラムの裏面に書かれてあったこの言葉、
「光」と「影」という相対するものが意味するところは
実際の公演を見るまでは正直あまり意識していなかったのですが
観終えて時間が経つにつれてなるほど!とすっと腑に落ちるところがありました。
光源氏が誕生する場面から始まった第一幕、その瞬間は光に満ちた喜びの時。
異母兄弟の兄・朱雀帝と手をつなぎ遊ぶように舞う明るい場面とは裏腹に
苛立ちと嫉妬に駆られた弘徽殿と長道が裏で策略を練る暗い場面もあり。
互いに運命の人だと確信した藤壺と光源氏の巡り会いと心が通い結ばれたあとの決別、
孤独という共鳴する部分で惹かれあった少女を守る光源氏の情熱と壮絶な紫の上の最期、
光源氏の命を助けた海賊の長・松浦も松浦を慕う咲風もまた悲しい最期を遂げたり、
幸せを求める光源氏の心の叫びが歌になり、そしてスケートでの嘆きに変わって
まさかの最期…そして月の人となって出家した藤壺とその皇子を見守るラストシーンまで。
物語全体を通して常に「光」と「影」との対比が描かれていた「氷艶」は、
喜びと悲しみ、愛と憎しみ、変わらない思いと儚さや無常観といった
今も昔も共通するような人の世の「あはれ」を浮き彫りにしながら、
短い命を燃やして生きる登場人物たちの心情も色鮮やかに映し出されている物語。
きっと亜門さんの頭の中で練られていた演出ヴィジョンが完成形となって
あの空間全体を異次元の世界へと変えていたように思います。
主人公の光源氏に投影されていたのは演じる髙橋大輔選手そのもの…
公式プログラムに掲載されていた特別対談「宮本亜門×髙橋大輔」の中で
亜門さんはこんな言葉を大輔さんに語りかけていました。
「今回はオリジナル作品なので、
光源氏の役には髙橋さんご本人のイメージを投影させ、
より魅力的に役作りができたらと思っています。」
源氏物語のアナザーストーリーとして描いていく構想、
さらには皆から愛される光源氏の魅力について、
ひいては「髙橋大輔は、なぜこんなにも皆から愛されるのか」についても
作品を通して見せていくという思いには衝撃と喜びを感じました。
「髙橋さんには華やかさと同時にどことなく影のようなものを感じます。
スターではあるけれど、アスリートゆえの影や孤独というようなものでしょうか」
競技者としての大輔さんをご存じの亜門さんだからこそ行きついた演出方法、
そこには実際のライバルを朱雀帝にキャスティングするという粋なはからいも
今回の氷艶でのスケーティング部分を見応えあるものにした大きな要因でした。
桐壺帝が藤壺をお披露目した祝いの席で光源氏と朱雀帝が競い合った歌詠み、
見事な弓裁きと氷上でのステップが見どころだった狩りの場面、
愛する人を前に兄弟が争う殺陣の場面での激しい応酬、どれをとっても
かつて世界のトップでしのぎをけずってきた大輔さんとステファンだからこそ
ダイナミックでかつ洗練された滑りで観客を魅了することが出来たのだと思います。
アスリートしての「痛み」が大輔さんの魅力だと悟られた上で
光の部分だけではなく影の部分も光源氏を通して描きたいという亜門さん。
そんな言葉を受けての大輔さんはまだ自信なさげで不安を隠さない正直な部分と、
やるからには全力で挑みたいという強い精神力とが入り混じったコメントでした。
そんなやり取りがあったのに、実際に蓋をあけてみてびっくり!
自由自在に操るスケート技術に加えて、セリフでも歌声でも表現するという技を
横浜アリーナという大きな舞台で魅せつけてくれた大輔さんがいたのですから。
世界的演出家の亜門さんが表現者としての大輔さんの持てる力を
一段も二段もステップアップさせてくださったことに感謝しかありません。
少年のあどけなさがセリフの声や町民たちの合間を駆け抜けていく軽やかな滑りに
とても良く表れていた場面ではジュニア時代の大輔選手を彷彿とさせられたり、
舟に乗って紫の上とともに逃げる場面では必死の戦いに敗れて海に落ちてしまい
愛する人の名を叫びもがきながら波にのまれてしまう場面では
怪我を抱えメンタル的にもつらい時期があった現役生活の苦悩がふと頭をよぎったり。
「貴様ーーっ!」という台詞で怒りの感情を爆発させ敵陣に飛び込んでいく場面も
2012年全日本FS「道化師」で見せた爆発的な滑りとシンクロするような印象を受けました。
そんな悩み苦しみ戦い続けた生き様の中、いつも傍にいた頭将軍に守られる愛されぶりや、
都の民たちからはキャーキャ―言われたり行方知れずになると帰って来てと恋われ、
無事が分かって都に返ってくるとなるとみんなが活気づく人気ぶりはスターさながら。
競技生活を送ってきた中で様々な人たちに守られ助けられてきた部分や
引退・NY留学・帰国という時期のファン心理や現役復帰を歓迎されるところまでも
もしかすると氷艶の中に投影されていたのではないか…と、これは個人的な想像ですが。
初挑戦のセリフや歌声が要所要所でのアクセントとなりながらも、
やはり一番の見せ場は氷上でのスケーティングだったと思います。
もはや派手なジャンプはなくても良くて。疾走感とスピード感あふれる滑りで、
しなやかな体のうねりに情感を込めながら氷上を駆け抜ける光源氏がそこにいて。
観客の視線を受けながら観客と心を通わせながら滑る様は、やっぱり大輔さんそのもの。
「氷艶」の光源氏とアスリートの髙橋大輔選手とが共存している、
そんな光景を目の当たりにしていたような不思議な感覚も
実は亜門さんの綿密な構想と大胆不敵な演出が成せる業だったのだ、
と遅まきながら公演後1週間経ってやっと理解するに至った鈍感な私なのでした。
特別対談の終盤には亜門さんから「髙橋大輔選手」への質問。
昨年末の全日本選手権で準優勝して世界選手権への出場権を得たにも関わらず
辞退したその気持ちを知りたい、と。大輔さんの答えはこれまでも語られていた通りで
世界を目指しての現役復帰ではなかったから自分の覚悟がないまま出るのは云々…
といったことから「試合もショーもすべてやる、そこに現役復帰の意味がある」
といった心境も。亜門さんに直接伝えながら「氷艶」がいかに自身にとって大切かを
切々と語っていたところでは2人の距離感がグッと縮まったような印象を受けました。
アイスショーでありながらミュージカル的な要素が入ってくるのも
亜門さん演出の大きな特徴であり、見どころでもあった「氷艶2019」、
4ページに渡って公式プログラムに掲載されていた亜門さんと大輔さんの対談では
平原綾香さんにオファーした亜門さんの意図についてもこんなふうに話されています。
「この物語には彼女の演技、大きな愛に満ちた温かさ、そして僕も、
どうしてもあの声が必要だと思ってオファーさせていただきました」
確かに、平原さんの包み込みような優しさと温かみのある演技も
藤壺の心の内を歌い上げる透き通った美しい声も、
今回の氷艶には必要不可欠だったと今になってしみじみ共感。
大輔さん自身も「平原さんの声が大好きなんです」と素の告白w
10年以上前に平原さんがスケートの会場で歌われたときに
歌い出しの息を吸った瞬間に引き込まれた、そう語っています。
そんな思われ人の平原綾香さんがオフィシャルブログ更新。
昨日の長岡大花火大会のお話、写真や動画も紹介してくださっています。
さらに氷艶との繋がりを感じた美しい浴衣姿も!
*2019-08-04 14:03 「15年目のフェニックス」
https://ameblo.jp/hirahara-ayaka/entry-12501373807.html
*2019-08-04 18:30 「氷艶ふたたび?」
https://ameblo.jp/hirahara-ayaka/entry-12501473515.html
平原さんが出演されていたBS日テレ生中継は屋外からの放送、
日は暮れても相当な暑さだったと思いますが終始笑顔で
ご覧になった花火の感想をMCの羽鳥慎一さんたちとお話されていました。
後半に差し掛かったところで披露された「復興祈願花火フェニックス」は
平原さんの名曲「Jupiter」の歌声が流れる中で打ち上げられた壮大な演目。
2004年に起きた新潟中越地震の際に「Jupiter」のリクエストがラジオ局に
沢山寄せられたことで、長岡の復興への思いを込めたミュージックスターマインを
「Jupiter」で作りたいという構想が持ち上がり、様々な困難を乗り越えて実現されて
今年で節目の15年目を迎えられたことを平原さん自身が説明してくれていました。
詳しい経緯や幸せのブルーフェニックスのお話、こちらの記事にも載っています。
★日本が誇る一大ブランド「長岡花火」平原綾香さんの名曲「Jupiter」と視界に収まりきらないワイドスターマイン復興祈願花火フェニックスなどをつくる人たち【インタビュー】
https://spice.eplus.jp/articles/235547
この復興祈願花火フェニックスを生中継ですぐそばでご覧になった直後の平原さん、
泣かないつもりだったのに…と言いながら涙を拭っていらっしゃった姿に
画面越しながら胸が打たれました。すぐお隣の羽鳥さんもちょっと涙声で、
復興への思いと平和への願いが込められた花火の感動を語られていました。
「源氏物語」という浴衣をお召しになった藤壺と夜空に広がる大きな花火の数々、
どちらも本当に言葉にならないくらい美しさを堪能させてもらえた生中継でした。
こちらもまだまだ氷艶の話題、賢二先生オフィシャルブログに亜門さん!
ダブル宮本のパワーが注がれた今回の氷艶、圧巻でした。
振付・所作指導の尾上菊之丞さんと殺陣指導の諸鍛治さんも。
*2019-08-04 12:50 「亜門さんと賢二さん」
https://ameblo.jp/kenjimiyamoto/entry-12501344085.html
氷艶の思い出語りとキャストの皆さんとの写真、
大音智海さんもオフィシャルブログ更新されています。
*2019-08-04 22:16: 「『氷艶 2019』を振り返って」
https://ameblo.jp/tomomi-oto/entry-12501562018.html
荒川湧太くんInstagramストーリー、
質問に答えてくれている中に大輔さんのことも!
https://instagram.com/_yuta_arkw
Q「氷艶で一番好きなシーンを教えてください」
A「一番好きなシーンは最初の方の『光源氏様ぁ!!!???!?』と、
光源氏さん、頭中将さん、松浦さん筆頭に『いくかぁ!!!よっしゃぁぁぁ!!』
のシーンです😃説明下手ですみません」
Q「荒川さんにとって大輔さんは?」
A「リスペクトでしかない方!!!!!」
荒川くんと言えば氷艶合宿中、冷えるスケートリンクで
大輔さんが上着を貸してくれたエピソードを披露してくれたり
「すてきなカンパニーだなー😳」という言葉を添えて休憩中の写真をUPしてくれたり、
キャストたちとの交流から謙虚に学び感謝の気持ちを忘れない好青年という印象。
たくさんの思い出のシェアにこちらも感謝!
11月の舞台出演から今後のさらなるご活躍を祈念しています!
https://twitter.com/yuta_arkw/status/1146720938995535875
https://twitter.com/yuta_arkw/status/1148574205920735232
山陽新聞 8月3日(土)朝刊の氷艶記事には光源氏のカラー写真!
スポーツ面ではなく文化面、「芸能・メディア」としての扱いで
地元の英雄が主演を務めたエンターテイメントショーを伝えてくださったことに感謝!!
web記事検索してみたら公演初日の記事文もありました。
文面は上記とほぼ同じですが記録用にリンクをお借りしておきます。
★高橋大輔、滑りや歌などで魅了 「この勢いでシーズンに」
[山陽新聞 さんデジ 2019.07.26 19:39]
https://www.sanyonews.jp/article/922982
そして明日、8月5日(月)は「AERA 2019年8月12日-8月19日合併号」の発売日!
出版社サイト目次に記事タイトルがUPされています。
☆「AERA (アエラ) 2019年 8/12-8/19 合併号」
発売日:2019年08月05日(月)
表紙:林遣都
出版社:朝日新聞出版
特別定価:410円 (税込)
●フィギュア:髙橋大輔「氷艶2019」を誌上ルポ
https://publications.asahi.com/ecs/detail/?item_id=21230
【amazon内容紹介】
7月末に髙橋大輔さんの主演で大成功を収めた氷上の舞台「氷艶2019」をたっぷり3ページで誌上ルポ。
7月26日から3日間、横浜アリーナで開催された「氷艶2019」は、髙橋大輔さんが主演、宮本亜門さんが演出を務めた氷上の舞台。大好評のうちに終了し、「新しい芸術の誕生」とも言われた熱演を、今回は3ページにわたり詳報しました。髙橋さんが演じたのは「源氏物語」の光源氏。和の衣装にスケート靴という出で立ちで、セリフ、生歌、ラブシーン、そしてワイヤーアクションにも挑戦しました。春に行われたAERAのインタビューで「パフォーマーとして生きていきたい」と話していた高橋さんの、まさにパフォーマンス領域を広げる舞台となりました。現役時代からの戦友ステファン・ランビエルさんや、荒川静香さん、織田信成さんといったフィギュアスケート選手のみならず、柚希礼音さん平原綾香さんも出演しています。
https://www.amazon.co.jp/dp/B07TNVX3K6/
大輔さんが平成最後の表紙を飾ったのは「AERA 2019年4月29日-5月6日合併号」。
「パフォーマーとして生きていきたい」と語っていたこのときのインタビュー内容を
氷艶が終わった今、改めてまた読み返してみると感慨深いものがありました。
リンク先をもう一度お借りしておきます。
★高橋大輔が「裸を見られても恥ずかしくない」と語った本当の理由
[AERA.dot(アエラドット) 2019.05.07 08:00]
https://dot.asahi.com/aera/2019042600034.html
★高橋大輔「僕は引き際を失敗した」 今後のキャリアは…
[AERA.dot(アエラドット) 2019.05.07 08:00]
https://dot.asahi.com/aera/2019042600035.html
★高橋大輔「大輔カンパニーをつくりたい」 舞台で輝くスケーターとは?
[AERA.dot(アエラドット) 2019.05.07 08:00]
https://dot.asahi.com/aera/2019042600036.html
「役者さんと共演するうえで、違う挑戦心が今回は芽生えています。
歌舞伎の時も、殺陣でも、本気でウワーと来られた時に夢中で返す自分がいて、
『こんな自分がいるんだ』と衝撃的でした。
今回もどんな自分が出てくるのかが楽しみです。
前回の氷艶から2年経って、自分がどう変わったか。
前回とはまた違う自分を見せられるようにと思っています。
本格的なお稽古に入る前に氷艶について語っていた部分、今改めて読み返してみると、
まさに前回とは全く違う大輔さんを今回の氷艶で見せてもらえたなと実感。
自らの殻を破り、限界を超え、パフォーマーとしての究極を見せてくれるスケーターが
歌や台詞という新たな武器まで備えてくるとは…本当に恐るべし才能と努力の人。
氷艶での経験が今後の大輔さんにもたらす表現面の増幅効果、
これから挑む新シーズンの試合の中でもぜひいかんなく発揮されますように。
今月末の「FOI2019」での滑りにも大いに期待しています!
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どっぷり氷艶ロスに浸りながらも記憶を言葉に綴るのがなかなか難しくて
もたもたしているうちにこの週末が終わってしまった感。
せめてもの思い出振り返りに、土曜公演の帰り際に撮った横浜アリーナ入口を。
本当は動画で撮ってあるのですが手元がブレブレだったので静止画にしてみました。
この宣伝映像の光源氏、美しさの中にある影の部分もまた魅力なのだろうなぁと
氷艶の舞台を思い起こしながら改めてジッと見入ってしまったのでした。
「宮本亜門が描く、平安貴族の光と影。」
公式プログラムの裏面に書かれてあったこの言葉、
「光」と「影」という相対するものが意味するところは
実際の公演を見るまでは正直あまり意識していなかったのですが
観終えて時間が経つにつれてなるほど!とすっと腑に落ちるところがありました。
光源氏が誕生する場面から始まった第一幕、その瞬間は光に満ちた喜びの時。
異母兄弟の兄・朱雀帝と手をつなぎ遊ぶように舞う明るい場面とは裏腹に
苛立ちと嫉妬に駆られた弘徽殿と長道が裏で策略を練る暗い場面もあり。
互いに運命の人だと確信した藤壺と光源氏の巡り会いと心が通い結ばれたあとの決別、
孤独という共鳴する部分で惹かれあった少女を守る光源氏の情熱と壮絶な紫の上の最期、
光源氏の命を助けた海賊の長・松浦も松浦を慕う咲風もまた悲しい最期を遂げたり、
幸せを求める光源氏の心の叫びが歌になり、そしてスケートでの嘆きに変わって
まさかの最期…そして月の人となって出家した藤壺とその皇子を見守るラストシーンまで。
物語全体を通して常に「光」と「影」との対比が描かれていた「氷艶」は、
喜びと悲しみ、愛と憎しみ、変わらない思いと儚さや無常観といった
今も昔も共通するような人の世の「あはれ」を浮き彫りにしながら、
短い命を燃やして生きる登場人物たちの心情も色鮮やかに映し出されている物語。
きっと亜門さんの頭の中で練られていた演出ヴィジョンが完成形となって
あの空間全体を異次元の世界へと変えていたように思います。
主人公の光源氏に投影されていたのは演じる髙橋大輔選手そのもの…
公式プログラムに掲載されていた特別対談「宮本亜門×髙橋大輔」の中で
亜門さんはこんな言葉を大輔さんに語りかけていました。
「今回はオリジナル作品なので、
光源氏の役には髙橋さんご本人のイメージを投影させ、
より魅力的に役作りができたらと思っています。」
源氏物語のアナザーストーリーとして描いていく構想、
さらには皆から愛される光源氏の魅力について、
ひいては「髙橋大輔は、なぜこんなにも皆から愛されるのか」についても
作品を通して見せていくという思いには衝撃と喜びを感じました。
「髙橋さんには華やかさと同時にどことなく影のようなものを感じます。
スターではあるけれど、アスリートゆえの影や孤独というようなものでしょうか」
競技者としての大輔さんをご存じの亜門さんだからこそ行きついた演出方法、
そこには実際のライバルを朱雀帝にキャスティングするという粋なはからいも
今回の氷艶でのスケーティング部分を見応えあるものにした大きな要因でした。
桐壺帝が藤壺をお披露目した祝いの席で光源氏と朱雀帝が競い合った歌詠み、
見事な弓裁きと氷上でのステップが見どころだった狩りの場面、
愛する人を前に兄弟が争う殺陣の場面での激しい応酬、どれをとっても
かつて世界のトップでしのぎをけずってきた大輔さんとステファンだからこそ
ダイナミックでかつ洗練された滑りで観客を魅了することが出来たのだと思います。
アスリートしての「痛み」が大輔さんの魅力だと悟られた上で
光の部分だけではなく影の部分も光源氏を通して描きたいという亜門さん。
そんな言葉を受けての大輔さんはまだ自信なさげで不安を隠さない正直な部分と、
やるからには全力で挑みたいという強い精神力とが入り混じったコメントでした。
そんなやり取りがあったのに、実際に蓋をあけてみてびっくり!
自由自在に操るスケート技術に加えて、セリフでも歌声でも表現するという技を
横浜アリーナという大きな舞台で魅せつけてくれた大輔さんがいたのですから。
世界的演出家の亜門さんが表現者としての大輔さんの持てる力を
一段も二段もステップアップさせてくださったことに感謝しかありません。
少年のあどけなさがセリフの声や町民たちの合間を駆け抜けていく軽やかな滑りに
とても良く表れていた場面ではジュニア時代の大輔選手を彷彿とさせられたり、
舟に乗って紫の上とともに逃げる場面では必死の戦いに敗れて海に落ちてしまい
愛する人の名を叫びもがきながら波にのまれてしまう場面では
怪我を抱えメンタル的にもつらい時期があった現役生活の苦悩がふと頭をよぎったり。
「貴様ーーっ!」という台詞で怒りの感情を爆発させ敵陣に飛び込んでいく場面も
2012年全日本FS「道化師」で見せた爆発的な滑りとシンクロするような印象を受けました。
そんな悩み苦しみ戦い続けた生き様の中、いつも傍にいた頭将軍に守られる愛されぶりや、
都の民たちからはキャーキャ―言われたり行方知れずになると帰って来てと恋われ、
無事が分かって都に返ってくるとなるとみんなが活気づく人気ぶりはスターさながら。
競技生活を送ってきた中で様々な人たちに守られ助けられてきた部分や
引退・NY留学・帰国という時期のファン心理や現役復帰を歓迎されるところまでも
もしかすると氷艶の中に投影されていたのではないか…と、これは個人的な想像ですが。
初挑戦のセリフや歌声が要所要所でのアクセントとなりながらも、
やはり一番の見せ場は氷上でのスケーティングだったと思います。
もはや派手なジャンプはなくても良くて。疾走感とスピード感あふれる滑りで、
しなやかな体のうねりに情感を込めながら氷上を駆け抜ける光源氏がそこにいて。
観客の視線を受けながら観客と心を通わせながら滑る様は、やっぱり大輔さんそのもの。
「氷艶」の光源氏とアスリートの髙橋大輔選手とが共存している、
そんな光景を目の当たりにしていたような不思議な感覚も
実は亜門さんの綿密な構想と大胆不敵な演出が成せる業だったのだ、
と遅まきながら公演後1週間経ってやっと理解するに至った鈍感な私なのでした。
特別対談の終盤には亜門さんから「髙橋大輔選手」への質問。
昨年末の全日本選手権で準優勝して世界選手権への出場権を得たにも関わらず
辞退したその気持ちを知りたい、と。大輔さんの答えはこれまでも語られていた通りで
世界を目指しての現役復帰ではなかったから自分の覚悟がないまま出るのは云々…
といったことから「試合もショーもすべてやる、そこに現役復帰の意味がある」
といった心境も。亜門さんに直接伝えながら「氷艶」がいかに自身にとって大切かを
切々と語っていたところでは2人の距離感がグッと縮まったような印象を受けました。
アイスショーでありながらミュージカル的な要素が入ってくるのも
亜門さん演出の大きな特徴であり、見どころでもあった「氷艶2019」、
4ページに渡って公式プログラムに掲載されていた亜門さんと大輔さんの対談では
平原綾香さんにオファーした亜門さんの意図についてもこんなふうに話されています。
「この物語には彼女の演技、大きな愛に満ちた温かさ、そして僕も、
どうしてもあの声が必要だと思ってオファーさせていただきました」
確かに、平原さんの包み込みような優しさと温かみのある演技も
藤壺の心の内を歌い上げる透き通った美しい声も、
今回の氷艶には必要不可欠だったと今になってしみじみ共感。
大輔さん自身も「平原さんの声が大好きなんです」と素の告白w
10年以上前に平原さんがスケートの会場で歌われたときに
歌い出しの息を吸った瞬間に引き込まれた、そう語っています。
そんな思われ人の平原綾香さんがオフィシャルブログ更新。
昨日の長岡大花火大会のお話、写真や動画も紹介してくださっています。
さらに氷艶との繋がりを感じた美しい浴衣姿も!
*2019-08-04 14:03 「15年目のフェニックス」
https://ameblo.jp/hirahara-ayaka/entry-12501373807.html
*2019-08-04 18:30 「氷艶ふたたび?」
https://ameblo.jp/hirahara-ayaka/entry-12501473515.html
平原さんが出演されていたBS日テレ生中継は屋外からの放送、
日は暮れても相当な暑さだったと思いますが終始笑顔で
ご覧になった花火の感想をMCの羽鳥慎一さんたちとお話されていました。
後半に差し掛かったところで披露された「復興祈願花火フェニックス」は
平原さんの名曲「Jupiter」の歌声が流れる中で打ち上げられた壮大な演目。
2004年に起きた新潟中越地震の際に「Jupiter」のリクエストがラジオ局に
沢山寄せられたことで、長岡の復興への思いを込めたミュージックスターマインを
「Jupiter」で作りたいという構想が持ち上がり、様々な困難を乗り越えて実現されて
今年で節目の15年目を迎えられたことを平原さん自身が説明してくれていました。
詳しい経緯や幸せのブルーフェニックスのお話、こちらの記事にも載っています。
★日本が誇る一大ブランド「長岡花火」平原綾香さんの名曲「Jupiter」と視界に収まりきらないワイドスターマイン復興祈願花火フェニックスなどをつくる人たち【インタビュー】
https://spice.eplus.jp/articles/235547
この復興祈願花火フェニックスを生中継ですぐそばでご覧になった直後の平原さん、
泣かないつもりだったのに…と言いながら涙を拭っていらっしゃった姿に
画面越しながら胸が打たれました。すぐお隣の羽鳥さんもちょっと涙声で、
復興への思いと平和への願いが込められた花火の感動を語られていました。
「源氏物語」という浴衣をお召しになった藤壺と夜空に広がる大きな花火の数々、
どちらも本当に言葉にならないくらい美しさを堪能させてもらえた生中継でした。
こちらもまだまだ氷艶の話題、賢二先生オフィシャルブログに亜門さん!
ダブル宮本のパワーが注がれた今回の氷艶、圧巻でした。
振付・所作指導の尾上菊之丞さんと殺陣指導の諸鍛治さんも。
*2019-08-04 12:50 「亜門さんと賢二さん」
https://ameblo.jp/kenjimiyamoto/entry-12501344085.html
氷艶の思い出語りとキャストの皆さんとの写真、
大音智海さんもオフィシャルブログ更新されています。
*2019-08-04 22:16: 「『氷艶 2019』を振り返って」
https://ameblo.jp/tomomi-oto/entry-12501562018.html
荒川湧太くんInstagramストーリー、
質問に答えてくれている中に大輔さんのことも!
https://instagram.com/_yuta_arkw
Q「氷艶で一番好きなシーンを教えてください」
A「一番好きなシーンは最初の方の『光源氏様ぁ!!!???!?』と、
光源氏さん、頭中将さん、松浦さん筆頭に『いくかぁ!!!よっしゃぁぁぁ!!』
のシーンです😃説明下手ですみません」
Q「荒川さんにとって大輔さんは?」
A「リスペクトでしかない方!!!!!」
荒川くんと言えば氷艶合宿中、冷えるスケートリンクで
大輔さんが上着を貸してくれたエピソードを披露してくれたり
「すてきなカンパニーだなー😳」という言葉を添えて休憩中の写真をUPしてくれたり、
キャストたちとの交流から謙虚に学び感謝の気持ちを忘れない好青年という印象。
たくさんの思い出のシェアにこちらも感謝!
11月の舞台出演から今後のさらなるご活躍を祈念しています!
https://twitter.com/yuta_arkw/status/1146720938995535875
https://twitter.com/yuta_arkw/status/1148574205920735232
山陽新聞 8月3日(土)朝刊の氷艶記事には光源氏のカラー写真!
スポーツ面ではなく文化面、「芸能・メディア」としての扱いで
地元の英雄が主演を務めたエンターテイメントショーを伝えてくださったことに感謝!!
web記事検索してみたら公演初日の記事文もありました。
文面は上記とほぼ同じですが記録用にリンクをお借りしておきます。
★高橋大輔、滑りや歌などで魅了 「この勢いでシーズンに」
[山陽新聞 さんデジ 2019.07.26 19:39]
https://www.sanyonews.jp/article/922982
そして明日、8月5日(月)は「AERA 2019年8月12日-8月19日合併号」の発売日!
出版社サイト目次に記事タイトルがUPされています。
☆「AERA (アエラ) 2019年 8/12-8/19 合併号」
発売日:2019年08月05日(月)
表紙:林遣都
出版社:朝日新聞出版
特別定価:410円 (税込)
●フィギュア:髙橋大輔「氷艶2019」を誌上ルポ
https://publications.asahi.com/ecs/detail/?item_id=21230
【amazon内容紹介】
7月末に髙橋大輔さんの主演で大成功を収めた氷上の舞台「氷艶2019」をたっぷり3ページで誌上ルポ。
7月26日から3日間、横浜アリーナで開催された「氷艶2019」は、髙橋大輔さんが主演、宮本亜門さんが演出を務めた氷上の舞台。大好評のうちに終了し、「新しい芸術の誕生」とも言われた熱演を、今回は3ページにわたり詳報しました。髙橋さんが演じたのは「源氏物語」の光源氏。和の衣装にスケート靴という出で立ちで、セリフ、生歌、ラブシーン、そしてワイヤーアクションにも挑戦しました。春に行われたAERAのインタビューで「パフォーマーとして生きていきたい」と話していた高橋さんの、まさにパフォーマンス領域を広げる舞台となりました。現役時代からの戦友ステファン・ランビエルさんや、荒川静香さん、織田信成さんといったフィギュアスケート選手のみならず、柚希礼音さん平原綾香さんも出演しています。
https://www.amazon.co.jp/dp/B07TNVX3K6/
大輔さんが平成最後の表紙を飾ったのは「AERA 2019年4月29日-5月6日合併号」。
「パフォーマーとして生きていきたい」と語っていたこのときのインタビュー内容を
氷艶が終わった今、改めてまた読み返してみると感慨深いものがありました。
リンク先をもう一度お借りしておきます。
★高橋大輔が「裸を見られても恥ずかしくない」と語った本当の理由
[AERA.dot(アエラドット) 2019.05.07 08:00]
https://dot.asahi.com/aera/2019042600034.html
★高橋大輔「僕は引き際を失敗した」 今後のキャリアは…
[AERA.dot(アエラドット) 2019.05.07 08:00]
https://dot.asahi.com/aera/2019042600035.html
★高橋大輔「大輔カンパニーをつくりたい」 舞台で輝くスケーターとは?
[AERA.dot(アエラドット) 2019.05.07 08:00]
https://dot.asahi.com/aera/2019042600036.html
「役者さんと共演するうえで、違う挑戦心が今回は芽生えています。
歌舞伎の時も、殺陣でも、本気でウワーと来られた時に夢中で返す自分がいて、
『こんな自分がいるんだ』と衝撃的でした。
今回もどんな自分が出てくるのかが楽しみです。
前回の氷艶から2年経って、自分がどう変わったか。
前回とはまた違う自分を見せられるようにと思っています。
本格的なお稽古に入る前に氷艶について語っていた部分、今改めて読み返してみると、
まさに前回とは全く違う大輔さんを今回の氷艶で見せてもらえたなと実感。
自らの殻を破り、限界を超え、パフォーマーとしての究極を見せてくれるスケーターが
歌や台詞という新たな武器まで備えてくるとは…本当に恐るべし才能と努力の人。
氷艶での経験が今後の大輔さんにもたらす表現面の増幅効果、
これから挑む新シーズンの試合の中でもぜひいかんなく発揮されますように。
今月末の「FOI2019」での滑りにも大いに期待しています!
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